今年のゴールデンウィーク、僕は特に出かけることもなく家でゲームか投資本を読んで時間を潰した。 ゲームは今更ながらシヴィライゼーション4と、ずっと積んでいたレッド・デッド・リデンプションをプレイ。投資本はブレント・ベンフォールド著「システムトレード基本と原則」(パンローリング)ボー・ヨーダー著「トレーディングエッジ入門」(パンローリング)を読んだ。

 さて、上述の二つの投資本はどちらもシステムトレード系の入門書だ。自分自身、今まで資産推移も売買日誌も一切付けておらず、また売買ルールも何も持たず適当にトレードし、劇的に資産を減らしてきた。2012年からはそうした反省も踏まえてちゃんと売買ルールを作ってそれを信じて一貫性を持つようにしたし、また2013年からはモチベーションを維持できるようにブログに売買・資産状況を記録するようにもした。

 そのおかげで、ようやくシステムトレード的な売買ルールの検証というものが僕にもできるようになった。去年の4月から現在まで、僕はおよそ30回ほどを売買している。その過去のデータを振り返って、売買ルールの有効性を検証できるようになったのだ。そこでゴールデンウィークの後半は、Excelで過去のトレード結果をもとに、自身の売買ルールの分析を行うことにした。
 
 さて、僕の売買システムを分析すると、1トレードあたりの平均期待リターンは+4%で平均保有期間は15日前後だった。ただ過去30トレード しかサンプルがないため、統計的に有意性があるかは非常に疑わしい。グラフにしてもあまりに凸凹で分析にはかなり覚束ないため、不本意ながら一般的な短期・中期のトレンドフォロー型システムの収益分布を適当に想定しながら、データ数を水増しした。この時点でかなり怪しい検証なのだが、ひとまずこれを前提に話を進める。今回はこの場合でモンテカルロシミュレーションを実施し、ユニット数(同時に仕掛ける銘柄数)によってどのようにパフォーマンスが変わるか検証した。つまり、短期・中期のトレンドフォロー型トレーディングにおいて分散化がどの程度意味のあるものなのか調べたかったのだ。


 その結果は以下の通り(一部のみ抜粋)

-30%以上のドローダウンを被る可能性
1ユニット:15%
2ユニット:4%
3ユニット:1%
4ユニット: 0.5%

 このようにユニット数を増やせば分散化によって大規模なドローダウンを被るリスクは劇的に減る。加えて標準偏差も、ユニット数の増加によって小さくなる傾向が見られた。一方で、ユニット数の増減によって期待リターンに目立った変化はなく、およそ250%程度の年間収益で安定した。さらにパフォーマンスの中央値はユニット数の増加で劇的に上方に修正された。ユニット数の増加による唯一のデメリットは年間収益が1000%を超えるような「異常な」成績を残せる可能性が2%→0.2%へと減少したことだった。

 以上のことを鑑みるに、短期・中期トレンドフォロー型システムにおいても、やはり分散化が非常に有効であるといえる。メリットに対するデメリットが圧倒的に少なすぎる。これは一般的にトレンドフォローで成功する投資家が広範な市場に広く分散投資を行っている事実に合致する。株価指数先物で損しても、通貨で倍取り返す、原油で損しても、小麦で倍取り返すといったように、プロのトレンドフォロー型投資家は相関性の低い対象に広く分散投資することで、個々の厳しいドローダウンに対処して高い期待リターンを獲得する。だが、一般の個人投資家にはそこまで広く分散投資する資金量も労力もない。例えば僕のように日本株式市場にしか投資しなければ、リーマンショックや3.11地震などの大暴落に対し、個別銘柄で分散化していようとなすすべがない。

 今回の検証では各トレード結果が独立していることを前提としている。 1トレードあたり70%の確率で5%の損失を出し、30%の確率で20%の利益を得るといったように、期待値がプラスで各トレードが常に独立しているのなら、分散化することによって収益は安定する。だが、実際は株式市場全体がまとめて下落する場合、分散化した全ての銘柄が下落することになるため、収益の安定化はそれほど見込めない。とはいえ、個別企業ごとの倒産や不祥事などのリスクについては軽減できるため、決して無駄になるということはない。1ユニットのみに投資していて、確率上当然生じうる連続ロスカットの後に、次の投資銘柄が不祥事でストップ安といったような事態になれば、容易に-70%を超えるドローダウンになりかねない。少なくとも分散化してユニット数が増えていれば、単純に小ロットのトレードの施行数が増えることで、「売買ルールの期待値がプラスならば」破滅的なドローダウンを回避できるようになる。加えて安定的な資産増加によって、複利の効果も強まり、年間期待リターンも平均的には上昇する。ただ、増加するトレード数に対して取引コストも増えてしまうということ、監視銘柄数の増加に伴う投資判断の遅れ、心理的負担といった問題が生じることを忘れてはならない。

 これまで僕は取引コストのことを懸念して1ユニットの投資を続けてきた。小資本の投資家ほど取引コストは重くのしかかるためだ。だが、最近は資金量もそれなりに増えてきており、そろそろ取引コストよりもドローダウンのリスクを考えたほうがよい時期にきているようだ。かなり怪しい分析だが、今回のシステム分析も分散化のメリットを示している。たった数銘柄に分散するだけで、破綻リスクが劇的に減少し、さらに期待リターンも平均的には向上するのだ。数銘柄程度ならば投資判断に迷うということもないだろう。


結論:これからは2~4ユニットの投資を行うことにする